2006→2016

はじめて行った新橋演舞場のことを鮮明に思い出せることに自分でも驚いた。

2006年、滝沢演舞城の初演。当時わたしは中学生で、関ジャニ∞大倉くんのファンだった。

友達から「行こう!」とだけ書かれたメールの画面も、部屋の真ん中で座り込んで子機握りしめて電話かけ続けたことも、繋がったあとテンパって「いつでもいいです」て言ってお姉さん困らせたことも、チケット発券するためだけに東京行ったことも思い出せる。朝方こっそり家を出て、買い物もしないで、プリだけ撮って夕方には帰ってきた。発券のためだけに中学生2人だけで東京に行くっていうのがわたしも友達もなんだか後ろめたくて、いつもみたいに2人で遊んでました、みたいに装った。

観劇当日は友達のお母さんも一緒だった。家の近くまで迎えに来てもらって、うちのお母さんと「よろしくお願いしますね」なんて話していた。

わたしも友達も厳しめの部に入っていたので、休むときはきちんと事前に理由を述べなくちゃならなかった。その日の練習を休む人は音楽室のホワイトボードに名前と理由を書かれる。無断で休むと家に電話がかかってくるという徹底ぶり。2人で「入塾のテスト」って嘘ついて、わたしは妹に「もし電話がかかってきたらそう答えてね」て頼んで行くほどビクビクしていた。

あの日の東京はまさにぽかぽか陽気だった。

東銀座から友人のお母さんは別行動。駅から新橋演舞場までの道にはあやしい写真を売るあやしいおじさんたちが並んでいた。会場に着く直前、何人か連れ立って歩くJrの子とすれ違った。はっきり覚えているのは当時J.J.EXPRESSに所属していた有岡くんだけ。ごめん。

タッキーと横山くん、大倉くん、Jrしか出演しないはずなのに、デビューを目前に控えたKAT-TUNの話題でもちきりだった。

席はセンターブロックの9列め上手寄り、左に友達、右は40くらいの女の人。中学生のわたしの目には、まわりはみんなすごく歳上の大人に見えた。高校生らしい人だって自分よりずっとずっと大人に見えて、なんだかすごく緊張した。

ホームの松竹座以外の舞台に出演する大倉くんを見るのはその日がはじめてだった。

横山くんがいきなりおじいちゃんになった。今考えれば、ジャニーズ舞台あるあるだとわかる。間近でみるタッキーはキラキラしてて、フライングですごく近くに来て、とにかく派手だと感じた。肝心の大倉くんは下手が多くて見えないことも多かったけど、有名な弁慶の最期のシーンは今でも目に焼き付いている。

終わったあとは頭がふわふわしていて、駅のエスカレーターに乗るときも足元がふわふわしていて、踏みはずしそうになった。帰りはJRで新橋駅から東京駅まで出て、そこから地元行きの特急に乗ったけど、東京駅までの数駅、わたしと友達はぽつぽつとした会話もなく、東京駅で合流した友達のお母さんに「どうだった?楽しかった?」って聞かれてからようやく感想を言い合った。

帰りの電車でパンフレットをちらっと読んで、あとは2人とも眠気に負けて、着くまでずっと眠った。

10年も前のことなのにこんなにはっきり覚えてる。大事な記憶なんだなって改めて思いました。

今年の滝沢歌舞伎も、そうなるといいな。そんな大事な記憶になるといいな。